日本酒はお好きですか-弓木春奈

2026.05.29

気象予報士弓木春奈

今回ご登場いただいたのは、気象予報士の弓木春奈さんです。まずは、名酒センターのお酒をお選びいただきました。

「『福和蔵 純米大吟醸』(福和蔵・三重県)はフルーティ―でパイナップルの味が確かにします。南国の香りがします。『亀の尾蔵舞』(竹野酒造・京都府)はフルーティ―だけどこっちよりはきりっとしていて時間をかけて、愉しみたいです。『蜂蜜酒』(天鷹酒造・栃木県)もすごく好きな味です。食事にも合いそうですね」。 

ひとつひとつを丁寧に口に運び、喉を潤し、嬉しそうにコメントする弓木春奈さん。BS-TBSの「おんな酒場放浪記」に出演し、見事な飲みっぷりを披露していた。

本業は気象予報士で、現在は子育てをしながらもNHKラジオで週2回、気象予報の番組で活躍している。

 20歳の誕生日のときにご両親からシャンパンをプレゼントされ、「こんなに美味しい飲み物が世の中にあるんだ!」と衝撃を受けて以来シャンパンが好きで、ビールや他のお酒も味見してみたけれど、やはりシャンパンの衝撃に勝るものはなく、後に白ワインが好きになり、赤ワインはもうちょっと大人になってから。日本酒には今から10年前位に開眼したそう。

最近は外で飲む時間はなかなかないが、料理を作りながら少しずつ飲んで、子供を寝かせた後にひとりでゆっくり飲む、というのが日常の飲酒スタイル。「アルコールには強い方だと思います。顔色は変わらないと言われます。お酒で失敗談はなくて、どんなに酔っぱらってもお化粧がしっかり落ちて、クリーム塗られていてパジャマに着替えて寝ているんです。

その時はしっかりしてるんだろうと思いますが、記憶に一切ないことがあります」と心強い愛飲家。子供がいるとカッカしちゃうことがあるので、穏やかに過ごしたいときに日本酒を飲みたくなる。日本酒はゆるやかに酔っていくので、気分がまったりしたいときに最適なのだとか。

次に弓木さんに選ばれた日本酒は、『瀧澤特醸 しぼりたて』『滝澤純米酒 にごり』(信州銘醸・長野県)と「鳳陽純米吟醸ひやおろし』。「しぼりたてはフレッシュ感ありますね~。にごりも好きです。

とろりとした感じが美味しい。『鳳陽』は半年熟成しているまろやかさがあるけれど、なんの雑味もない。バランスが良くて、丹精な美人みたいな感じですね」とスイスイと喉元を通していく。気持ちのよい飲みっぷりに、インタビュアーは思わず杯を交わしたくなるのを我慢して、インタビューを続けていった。

河出書房新社より『ことわざに学ぶ気象災害から命を守る知恵』、や『天気と気象の新知識』といった著書を発行しているが、今度は「お酒と天気」でしょうか、日本酒を造るうえで、天気に影響されることがありますよね、と弓木さん。米がまず天気の影響を受け、それが造りに影響し、さらに造りの工程でも気温に左右されるのだから、酒造りにとって気象予報は重要なデーターとなる。この重要なデーターを操るのが気象予報士なのだ。

弓木春奈

気象予報士歴17年 

小さいころ、祖父母が梨農家だったんですが、夏にヒョウが降って、たった1日のヒョウだけで売りものだったものを全部廃棄しなければならなくなってしまいました。祖父母が肩を落としているのを見て、私も悔しい気持ちになり、天気を変えることはできないけれど、予報だったらできるなと思うようになりました。

埼玉の田舎で育ったので、空を見るのが好きで、空が広いだけで心が広くなるような気がしました。そんなことから、大学のときに気象予報士さんの資格をとって、もう17年です。

季節で予報の仕方が違うので、春夏秋冬を5周期ぐらい繰り返すと一人前。そこから経験が積み重なって、いい予報に繋がっていきます。ようやくそんな域に達したでしょうか。人前に出るのが苦手で、テレビのカメラを向けられるのが不得手なのですが、天気が「好き」ということでこれまでやってきました。

夕方のニュースのためには、下調べで3時間は必要になります。やっていて難しいことはいっぱいあるのですが、例えば、大雨警報や台風予報で煽りすぎるのはよくないけれど、注意していただきたいときはより危なめに表現します。その匙加減が難しい。

とくにラジオは観られない環境で聞いてくださるので、災害時の呼びかけは、テレビのときよりトーンを高くして伝えるようにしています。言い過ぎても狼少年になってしまい、皆さん聞いてくださらなくなる...。この匙加減は経験を積むことが必要ですね。AIの精度があがっていると思いますが、天気予報は、人の経験の蓄積が大事です。

『おんな酒場放浪記』出演のきっかけ

自分では意識してなかったのですが、SNSでお酒を飲んでいる写真とか飲んでいるコメントとかが多かったらしく、それを見つけていただいて、お声がけがありました。所属していた気象予報士の事務所の先輩に、ちょっと今日呑みに行こうと言われて、呑みに行った先が実はオーディションだったんです。そこで、べろべろにならないかとか、愉しく飲めるかなどを審査されていました。

同じ事務所の予報士の仲間と一緒に、テレビ局の4,5人の方が審査されました。ビールや日本酒、その他いろいろたくさん飲みました。その後、審査員の方にこういう番組があるけど出る?実はあのときオーディションだったんだよって知らされました。

『おんな酒場放浪記』はだいたい2本取りですが、1軒で3,4杯飲み干します。結構1軒目でできあがってオンエア見るとこれ食べたっけ?とか2件目は記憶がないぐらいにもなりますが、こんなに楽しい仕事があっていいのかってほど楽しい仕事でした。

月に1回のロケで2件ずつ周りましたから、60件ぐらいは行きました。ロケというものをやったことがなく、食べ物を食べて、お酒を飲んでコメントするのは初めての経験でした。収録の後に何でこんなにできないんだって、大泣きをしたこともありました。

コメントにシナリオはまったくなく、感じたことをストレートに言わなくてはならない。正解がなく、個人的な感想を言うんです。だんだん慣れてはきましたが。お店の人と話す会話をしていくなかで、コミュニケーション能力が養われ、プライベートで行っても質問してお店の方と仲良くなったりできるようになりました。

3年やっていましたが、印象に残ったのは、内臓のいろんな部位を様々な調理法で出してくれる板橋区のお店がありました。店主の方がリュックで毎朝市場に行って新鮮なもつを買ってきて湯引きみたいなレア―焼き、揚げ物などひと通りでて、そこは美味しかったし。やはり日本酒飲んで合いました。日本酒も種類豊富で、塩辛いのには辛口の日本酒を合わせてくれたり、部位に合わせた日本酒を薦めてくれました。

ずっと歌っているママさんも印象的でした。ママさんが80年代ぐらいの歌をずっと歌っていました。松田聖子さんとか、料理を出すときも歌っていました。料理は焼きそば、唐揚げとか家庭料理。お店に来る人は「ただいま」って、入ってきました。

スタッフの選んでくる店が個性的で、店主の方がいいキャラクターでした。お客さんとの距離が近いほど繁盛しているなと、感じました。

日本酒の魅力

日本酒は食事の主役になりうる存在です。日本酒がメインで料理はおしんこだけでもずっと長い時間楽しめます。夜中まで長い時間ゆったりと友人と楽しめるお酒だと思います。他のお酒でもできますけど、私の場合はワインだとピザとかパスタなどのがっつりしたものを食べたくなり、そういうものを食べるとそこで終わっってしまう気がします。ちびちびと愉しく長く飲めるのは日本酒なんです。  

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お酒は、人脈も増えていくし、コミュニケーションの材料にもなるし、輪がひろがっていくすばらしいアイテム。仕事も増えたので、ありがたい話です。家で飲むときはひとりで飲むので300mlを買うようにしています。好きな日本酒は、フルーティーな感じの純米吟醸あたりです。

今後の展望

 自分の会社を立ち上げました。㈱晴れのち晴れという社名です。女性って子供産んでからは、活躍する場がまだまだ限られています。世の中は女性が自由に活躍できるような雰囲気ですが、実際そうなっていない。退職して子育てに専念せざるおえない人が多いです。

子供がいる女性でも活躍できる社会にしたくて、この会社を1年半ぐらい前に立ち上げました。子育てしながら思う存分仕事ができる人をふやすことで、それが普通になっていく世界。当たり前となっていく社会にしたい。

同じ子供がいる女性を集めて何かやりたいなと。 スタッフは一人で、これから始動します。子供がいる人が働きやすいように、子供の病気など、急なときに対応できたり、子供がいる人を助けられる会社にしたいです。

さらに天気予報は極めていきたい。予報士は本業で続けながら、お酒の番組には戻りたいです。おばあちゃんになっても続けたい。

【プロフィール】

1986年埼玉県生まれ。青山学院大学在学中2007年に、気象予報士の資格を取得。大学4年生、2008年からTBSで気象キャスターを務め、出演の傍ら、原稿を書くなどサポート業務も行う。

2011年からはNHK「おはよう日本」に出演。その後、2014年から現在までNHKラジオで気象情報を担当。著書に『ことわざに学ぶ気象災害から命を守る知恵』『一番わかりやすい天気と気象の新知識』がある。趣味は、旅行先でその土地のお酒と料理を楽しむこと。お酒好きが高じてBSTBS「おんな酒場放浪記」にも出演中。

【本のご紹介】

『ことわざに学ぶ気象災害から命を守る知恵』

気象災害で尊い命が奪われないように…本書が身を守る行動をするきっかけになれば嬉しいです。(弓木春奈)