枝豆と長芋のチキン酒粕グラタン

2026.08.25

今年も早いうちから暑さが始まり、気がつけば連日の猛暑。まだまだ続くこの暑さに、さすがに体の疲れを感じている方も多いのではないだろうか。

 現代ほどの猛暑ではなかったにせよ、江戸時代の人々もまた夏の暑さと向き合いながら暮らしていた。街道を行き交う旅人たちは、峠を越える際に茶屋で甘酒を飲み、疲れた体を癒したという。甘酒は「飲む点滴」と呼ばれる現代だけの健康飲料ではなく、古くから人々の活力源として親しまれていたのである。

 また、京都と江戸を往来する人々の間では、旅立ちの朝に自然薯を食べて精をつける習慣もあったという。長旅を乗り切るために栄養価の高いものを口にする。そんな知恵は昔から受け継がれてきたのだろう。ほかにも、どじょう鍋やしじみなど、滋養豊かな食材が夏の体調管理に役立てられていた。

 今では「土用の丑の日にうなぎを食べる」という習慣がすっかり定着しているが、江戸時代にはうなぎはどちらかといえば特別なご馳走であり、現在のように夏バテ防止のために広く食べられていたわけではなかったようだ。

 暑い日が続くと、ついそうめんや冷たい麺類だけで食事を済ませたくなる。しかし、冷房の効いた部屋で過ごす時間が長い現代人は、意外にも体の内側が冷えていることが多い。そんな時こそ、温かい料理で体を整えたいものである。

 私が夏によく作るのが、酒粕ホワイトソースを使った長芋と枝豆、鶏肉のグラタンだ。旬を迎えた枝豆のやさしい甘み、ほくほくとした長芋の食感、そして鶏肉の旨味がひとつになり、見た目以上に滋味深い一皿になる。

 さらに、この料理の決め手となるのが酒粕ホワイトソース。まろやかなコクの中に、ふわりと立ち上る酒粕の香りが心地よく、ひと口ごとに豊かな余韻を残してくれる。暑さで食欲が落ちがちな季節でも、自然と箸が進む味わいだ。

 冷たいものばかりに頼りがちな夏だからこそ、時には温かな料理で体をいたわる。今年の夏も、旬の恵みを味方につけながら元気に乗り切りたいものである。

 というわけで、今宵はGeorge 醸侍と言う名の日本酒で、このグラタンをハフハフ頬張りながら、一献としよう。

長芋と枝豆、鶏肉の酒粕グラタン

材料(2~3人分)

  • 鶏もも肉 150g(塩麹に漬けておく)
  • 長芋 100g
  • 枝豆 適量(茹でてさやから出しておく)
  • 牛乳 250ml
  • 片栗粉 大さじ1
  • 酒粕ペースト 大さじ1~2(お好みで調整)
     ※なければ味噌でも代用可
  • パン粉または粉チーズ 適量
  • 塩・こしょう 少々
  • チキンパウダー(または顆粒コンソメ) 少々
  • オリーブオイル 適量

作り方

  1. 鶏肉はひと口大に切り、塩麹で揉んでおく。長芋は皮をむき、1cmほどの厚さの半月切りまたはいちょう切りにする。
  2. フライパンにオリーブオイルを熱し、鶏肉を入れて表面にこんがりと焼き色をつける。
  3. 長芋を加え、表面に軽く焼き色がつくまで炒める。
  4. 片栗粉を全体に振り入れ、具材にまんべんなく絡ませる。
  5. 牛乳を少しずつ加えながら混ぜ、チキンパウダー、塩、こしょうで味を調える。弱火で加熱し、とろみがつくまで煮る。
  6. 枝豆を加え、最後に酒粕ペーストを加えてよく溶かし、全体になじませる。
  7. 耐熱皿に移し、表面にパン粉または粉チーズを散らす。
  8. 220℃に予熱したオーブンで10〜15分、こんがりと焼き色がつくまで焼く。

著者プロフィール:小門 亜裕子 (料理家)「WASHOKUを世界に!」をキーワードに世界に日本の「美味しい」を届ける活動をしている。年間3000人の訪日外国人が受講する和食料理教室Buddha Belliesを主宰。著書 『英語でレッスン!外国人に教える和食の基本』《秋山亜裕子 IBCパブリッシング》

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