キャッチミーイフユー燗 ~笹祝 生酛純米~

2023.02.19

先に弁明します。
生酛は乳酸が生み出す豊かなコクと酸味が売り。私もそう思っています。

ならばなぜ、生酛をわざわざ熱燗にしてしまったのか。涼冷えで飲んだ時に感じた「米の奥行き」に魅入ってしまったからです。

薄はりのグラスに注いだ時に立つ、ミカンの花のようなほんのりと温かみのある香り。口に流した時に感じる、柑橘系の、特に甘夏のような優しく爽やかな酸味、甘さをまとった緩やかな旨み。口に広がる味と香りにチラつく米の旨味。その余韻から「キャッチミー、イフ、ユー燗」と言われているようでした。

今回のお相手は笹祝 生酛純米

清酒を構成する「米・麹・水」。美酒の可能性をさらに引き出すのが、飲ん兵衛としての使命ではないでしょうか。まずは熱燗に。

まずは熱燗に

先ほどの優しいミカンの香りから一変、馥郁(ふくいく)とした炊き立てご飯の香りがとっくりの先から上ります。

注いだ平盃から口に流し込んだとたん、華が開いたように広がる軽やかな辛さとミルキーな旨み。焼きミカンの皮をかじったようなほろ苦さを感じる戻り香。何ともグラマラスなお味。

熱燗に悩殺されそうになりながらチビチビ飲んでいると、燗冷ましのぬる燗になってきました。先ほどのグラマーから変身。淡麗な飲み口。

滑らかな旨みと軽やかな辛さ、米の優しい香りがじんわりと余韻を残します。体幹のしっかりしたしなやかなお味。

テイスティングは18℃から20℃のあたりが、日本酒本来の香りや味わいの特徴、香味のバランスを判別しやすいと言われていますが、笹印生もと純米は温度で変幻する

「キャッチミー、イフ、ユー燗」

私はまだ正解にたどり着けていない。

これからも様々な表情を楽しめる、そう感じさせる素敵な一本。

<商品紹介>
笹印 生酛純米 無濾過酒
アルコール:15%
原料米:五百万石  原材料:米・米こうじ
精米歩合:65%蔵元のサイトはコチラから

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