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【よもやまばなし】アッサンブラージュのはなし。
2023.06.09更新
【よもやまばなし】定石のはなし。
日本酒は面倒臭い?
店舗スタッフとして店に立つ。
客として日本酒のある店に行く。
SNSで日本酒好きの皆さんの投稿を見る。
私は様々なシーンでふとした時、日本酒に関するルール、ないし定石のようなものを小耳に挟む。
「わかってないなあ。熱燗にするなら純米酒だよ。」「わかってないなあ。それじゃなくて、この酒が美味いんだよ。」「わかってないなあ・・・」そんな声が時折聞こえてくる。
私は日本酒の世界でそれなりに経験を積んだつもりだが、「へえー、そうなんだ」と驚くことがまだまだある。
ーーーなんてだいぶ皮肉っぽい言い回しになってしまったが、一自論にすぎない意見をあたかも通ぶって押し付けている光景は、見ていてむず痒い。
側から聞いていればまだ聞き流せるが、言われている当事者はせっかく興味を持った、またはこれから持つであろう日本酒に対してさぞ厄介なイメージを植え付けられていることだろう。
物怖じせずに言えば日本酒なんてものは所詮嗜好品。どうしても好きでなければ、わざわざ飲まにゃならんというものではない。
奥が深いな、と思ってもらえれば不幸中の幸いだが、なんか面倒臭いな、と思われることがほとんどだ。
日本酒は最も面倒くさく、ない
この小見出しも見る人が見れば押し付けがましいかもしれないが、ご愛嬌。
日本という環境にとって日本酒ほど自由度の高いアルコール飲料はない。
大抵の料理に合い、氷や割材を要求せず、必ずしも温度を調節しなければならないものではない。
開栓したら飲み切らなければならないということもなく、シーンによって様々な容量、容器を選べる。
日本酒は奥が深いというのは事実だが、それはオセロのように定石があるからではない。
酒の味の何如は個人の好みで、いわゆる万人にとって共通の「勝ち」など存在しないのだから当然。
一本の酒でも石の指し方ひとつで違う局面を楽しめる、そこに日本酒の本懐はあるのだと思う。
「わかってないなあ。好きに飲みゃいいのよ、それで。」