【よもやまばなし】ジャケ買いのはなし。

2022.04.05

多様化するラベルデザイン

 一昔前まで、日本酒のラベルといえば豪快な筆字やひげ文字で銘柄名をドンッ!と書いたものが主流であり、ほとんどであった。

筆字はその書体でブランドイメージを形容し、ひげ文字ラベルは背景のトラディショナルなデザイン(名前があるのかな?写真参照)で格式を表現した。

もちろんどちらも現在も活躍しているデザインだが、近年はまず見た目から明らかな個性差をつけようと、多様多彩なラベルのお酒が店頭に並んでいる。

ひげ文字ラベルたち。右の2本のように、トラディショナルな柄のデザインがもまた雅。

 印刷技術の進歩やラベル紙素材の新開発も寄与し、酒蔵のインスピレーションを柔軟かつ的確にデザインに落とし込めるようになったわけだが、広がり続ける日本酒そのものの味わいのバリエーションに追従しているとも言える。

 例えばワイン酵母で仕込んだエッジの効いた甘酸っぱいお酒や、これでもかと華やかで賑やかな香味を持つお酒。

捻りなく考えれば前者はワイン調のデザインに、後者は箔や彩色で鮮やかになるだろう。

まずは興味を惹くこと、そして味わいの印象と違わないことが商品にとっても、消費者にとっても望ましい。

してますか、ジャケ買い

 「ジャケ買い」って死語なんですかね?

もとはレコードやCDをジャケットの印象だけで選んで購入するという情報飽食デジタル社会のいまでは失われつつある行為だが、派生して音楽記録媒体以外にもしばしば使われる。

あんまり日本酒詳しくないよー、裏ラベル見てもよくわからないよーという方にはぜひこのジャケ買い、試してみてほしい。

それは、そうしなければ一生手に取らなかった酒かもしれない。

ときには失敗することもあるだろう。

でも、まずは自分が興味を持てるかどうかだ。

デザインも中身も好みならそいつはもうあなたの相棒。

ちなみに私は古風なひげ文字が好き。

 ラーメン屋の店構え、小説のタイトル、それこそCDジャケット然り、第一印象による期待とその結果が吉だった場合、その喜びはときに単純な足し算ではなくなる。

いつか酒瓶並び立つ前で迷ったら、「なんか大袈裟なこと言ってる奴いたな」と思い出していただければ。

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