-
-
【蔵元訪問記】男山㈱(北海道旭川市)
2025.02.01更新
【蔵元訪問記】王紋酒造(新潟県)
体験型“酒蔵”リゾート
「王紋」の文字が大写しにされ、鮮やかな画面が次々と変化していく。まるで万華鏡の中に入ってしまったかのようだ。歴史と感動のインスタレーション体験。光に包まれるエンターテインメント・プロジェクションマッピング。映し出される映像を囲むように佇む太い柱。ここは、230年もの歴史を刻んできた王紋酒造の旧仕込み蔵だ。

創業1790年(寛政2年)の王紋酒造の旧仕込み蔵が、体験型“酒蔵”リゾート「五階菱」(ごかいし)に生まれ変わっていた。

映像を堪能した後は酒造りの工程の説明を聞き、鏡開き体験や、日本酒の利き比べなどのプログラムが用意されていた。利き酒では、同じ酒なのに飲む器によって香りや味が変わった。
市島酒造から王紋酒造に
旧酒蔵通じる店舗にたどり着く。

今年の2月に市島酒造から王紋酒造に社名が変わり、「五階菱」は4月29日にオープン。体感型“酒蔵”リゾートというコンセプトの「五階菱」はミュージアムや体験施設、店舗などがある。
事業再建で経営者は変わったが、蔵人はそのまま残り、酒造りは同じ田中杜氏が変らずに続けている。王紋酒造の新代表取締役社長長谷川一豊は、自分の生まれ故郷の新発田の文化財と言われるものを後世に残していきたいと、財団法人新発田歴史文化プロジェクトを立ち上げた。
1400年もの間、越後の守護である「諏訪神社」や多くの侍が茶の湯や能楽を楽しんできた「清水園」、城下町の風景を残す「寺町通」等が一緒になって新発田を盛り上げてほしい。その中の事業の一環としてある王紋酒造でありたいと、この「五階菱」が出来上がった。

なるほど、新発田を盛り上げたいということなのか、王紋酒造以外の新発田の酒蔵の酒も「五階菱」の店舗で販売されている。新発田4蔵の酒と越後・新発田の地産品が並び、有料試飲の場所もある。古い土蔵だった空間はカフェになっている。新発田の名産はここに来れば何でもあるよ、といった店舗にもしたいそうだ。
新たな酒造会社のスタイルを模索
市島酒造時代とほとんど同じ蔵人が造る酒は、徐々に内容を変えていく予定だという。文化遺産の継承のために四季醸造を目指す。無濾過生原酒を冷凍して1年後どうなってるのか研究したり、棲み着いている住み着いている酵母からオリジナル酵母を培養していきたいと、今までとは全く違った酒造会社のスタイルを模索している時だという。

「五階菱」は、新発田藩主・溝口家。新発田が構成されている5つのエリアを現すシンボルでもある。
歴史を経て今を伝える酒蔵の変貌が楽しみだ。
【王紋酒造】
酒蔵:新潟県新発田市諏訪町3丁目1番17号/本社:新潟県新発田市本町1丁目7番5号
電話:0254-22-2350(代表)254-22-5150(酒蔵見学)