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【蔵元訪問記】蔵元訪問記/金升酒造(新潟県)
2024.12.10更新
【蔵元訪問記】越後酒造場
新潟駅から白新線で20分ほどのJR豊栄(とよさか)駅より越後酒造場へ向かう途中、旧・葛塚(くずつか)市街はどこか昭和チックで古風な町並みを残す。
この豊栄駅から南に約500mに渡り、定期的に葛塚市が開かれる。幕府によって開市が宝暦11(1761)年に認められ、それ以来続いている。食料品から日用雑貨まで扱う200~250の店舗が連なり、県内最大湖・福島潟で獲れた天然の小魚、豊栄の名産物である新鮮な野菜等を買い求める人たちで賑わう、という。
この市のちょうど終着点辺りにあるのが越後酒造場だ。前身である八田酒造が創業して81年目。現在の造りを担う生産部課長西島徹杜氏(42歳)に、酒蔵の案内をしていただいた。
米の味がして淡麗な酒が持ち味
●今年の造りはもう終盤ですね。
4タンク分の上槽を終えて、火入れ(低温殺菌)まで終わったら掃除して、完全にリセットして令和5年の造りに備えます。自分たちで大工仕事もして、メンテナンスします。
●杜氏は日本で唯一醸造科があった新潟の吉川高校のご出身と聞きましたが、こちらの蔵で何年目ですか
今42歳ですが、23歳で越後酒造場に入社しました。高校ではざっと醸造のことを学びましたが、自分が造った酒を飲めないですからね。どんなお酒ができてたんでしょう?高校卒業後6年間は他の酒蔵に勤めた後に、こちらへ。
ここに並んでいるタンクは、精米歩合70%の純米酒ですが、アルコール度数が違います。飲み比べると糖分がアルコールに変わる経緯がわかります。こちらはアルコール13度ですが、18度くらいまでもっていきたい。アルコール度数は1日1度ずつ上がっていきます。
●いい香りがしますね。
若いので甘く感じます。ガスが勢いいいですね。後1週間ぐらいで搾ります。
●越後酒造場のお酒の特徴は?
元々、寺泊から越後杜氏さんが蔵人と一緒に来ていた蔵で、その造りを受け継いで今に至ります。その杜氏さんが高齢で退任されるまで、大関から3人の杜氏が来てましが、今までやってきた造りを尊重していました。米の味がして淡麗な酒がうちの酒の特徴です。
全国流通を果たした越後酒造場
●酒造りは何人でされているのですか?
2人です。11月~2月は、本社から手伝いに来ます。今年はタンク42本で750石造りました。来期は醸造日数を伸ばして900石ぐらいに持っていきたいです。1000(1800L×100本×1000本)石は目指したい。蔵の中だけのタンクで仕込み、フレッシュローテーションで回します。
●本社というのは大関さんですね。
はい。10年くらい前から大関さんの子会社になりました。越後酒造場の原料米は新潟の米ですが、「山田錦」だけは大関からの調達です。大関の方々は、うちの造りで酒造りの全体が見られるので勉強になるそうです。こちらは手伝っていただいて助かるし。双方いい関係です。
●よく東京の居酒屋さんで300mlの「越乃八豊」を見かけます。
純米酒「甘雨」(かんう)を地元メインで売っていたのですが、大関さんの力で「越後の辛口」「越後の甘口」が全国に流通するようになりました。
●「おりがらみ」は若い方にも人気ですね。
2021年に発売したもので、通年商品ですが、味はすっきりしてるしボトルが涼し気で、夏によく出ます。定番は「越後の辛口」「越後の甘口」で、バランスの取れたレギュラー酒として日々飲んでもらいたい酒です。
●甘口、辛口とわかりやすいのがいいですね。
2つ並んでいたら、会話の糸口にもなりそうです。今後はどんなお酒を造っていきますか?
生酒など課題ですが、新商品入れて石高も増やしていきたいです。「越乃八豊」おりがらみ、純米原酒、限定蔵出し純米大吟醸のラベルはリプランディングしました。原点回帰して、地元豊栄の発展と蔵の発展が末広がりにお客様と共に豊かになる、という意味を込めました。杜氏の自信作です。
【越後酒造場】
〒950-3321新潟県新潟市北区葛塚3306−1 TEL.025-387-2008
HP:新潟の地酒を手造りでお届け | 株式会社越後酒造場 | 新潟の地酒蔵「越後酒造場」は越後杜氏の技、恵まれた銘水、新潟県産米を見事に 調和させた手造り蔵です。全国新酒鑑評会 金賞受賞蔵。 (echigoshuzojo.co.jp)