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【蔵元訪問記】峰の雪酒造場(福島県/喜多方)
2025.05.10更新
【蔵元訪問記】秋田酒類製造(秋田県)
東京のJR浜松町駅から数分、大通りの角地にある「秋田屋」。開店を待つ列は、早くも毎日午後3時頃からできていく。酒は秋田の「高清水」。秋田出身の創業者が昭和初期に開いた店で、サラリーマンの憩いの場として長く愛されている。
「秋田屋さんは「高清水」を長い間扱ってくれています。うちは普通酒蔵ですからこういうところでよく飲まれる。東神奈川の根岸家さんでも、燗酒がよく出ています。徳利を四角い湯煎器にぎっしり入れて提供するんです。最初はビールかもしれないけれど、結局皆さん「高清水」を飲んでいます。全国新酒鑑評会では25回連続金賞をとっていますから、高級酒を造る技術はあります。

それはそれとして、普通酒がうちの屋台骨です。めずらしいものや特徴あるものだとかに注目がいきますが、ワインでもテーブルワインがあって、そこに高級ワインもある。日本酒もテーブル日本酒があって、そのなかで吟醸や大吟醸も楽しめる形になってほしい。普通酒は飲んでみると、ふくらみがあって、お刺身なんかも合う。

幅広い料理に合います。飲み続けられる。料理に合わせてゆっくり楽しめる。全国各地で、今までずっと「高清水」の普通酒は支持されてきました」こう語るのは秋田酒類製造株式会社の取締役社長・平川順一氏。

昨年の末には、廣嶋常務取締役・営業本部長の陣頭指揮の元、社員の意見も取り入れ、「高清水」のコンセプトを再定義したブランドブックを作成した。「すべての人」と「強い想い」と「品質へのこだわり」この三つが高清水主義と呼べる大切な宝ものだとする。
「普通酒」蔵の誇り、そして挑戦
品質で勝負
●「高清水」すべての普通酒の原材料は、米と米麴、醸造アルコールのみで、秋田産の米を60~65%磨いて使う。飲み易いですね。
品質で勝負して、東京の老舗さんからは高評価をいただいています。冷やでも燗でも、何ともいえない味わいがある。

●大吟醸クラスが720ml/1500円代というのはお得。
いろいろ調査して、1500円程度が皆さんの手に取りやすいと、価格を決めてから商品開発して15年前に発売しました。

●飲み手にはとてもありがたい。ラベルが刷新されてさらに人気が出ていますね。
純米大吟醸、大吟醸、酒乃国純米酒、辛口純米を刷新しました。賛否両論ありますが、思い切ってやるのが大事で、売上も全国的に増えている。ずっとコロナから低迷していたところに、ギアチェンジして挑戦したのはよかった。

高級酒市場でも認知
●次なる施策はありますか?
海外には力を入れたい。輸出酒の7割はアメリカで、他韓国、イスラエル、スウェーデン、ブラジル、メキシコに流通してます。ドジャースのビップルームにもありました。今後の関税については心配ですが・・・

また、高級酒市場でも認知を得たい。去年、「御所野蔵」の加藤杜氏の「全国新酒鑑評会20回連続金賞受賞記念酒」として720ml/20万円の酒を出しました。高級酒市場で成長するきっかけを作りたい。市場を勉強して深堀していきたいと。とにかく中身に拘りました。35%精米の山田錦で醸造した酒に、さらに酒で6回再仕込みを繰返し、3年寝かせました。世界中どこにもない酒です。

●様々な取り組みをされていますが、日本酒の魅力はどんなところだと思われますか?
日本酒はコハク酸、乳酸が多いので、それが貝類とか乳製品などをはじめ、幅広い料理と共に楽しめることが最大の魅力。「高清水」はある程度香りを抑えてちょっと酸を多くして、料理に合わせやすくしています。
元銀行マンという経験を活かし、果敢な改革で「高清水」のブランド価値を高めてきた平川社長。業務で一番嬉しい瞬間は?と問うと、お客様に美味しいと笑顔で言っていただくとき。さらにそれが広くお客様に伝わって数字が伸びてくるのは非常に嬉しいと、柔和な笑顔を返してくださる。
現在、深刻な米問題で連日会議に追われる日々。とてもキツイ時間に違いない。勝手ながら、元来のバイタリティで、何とか乗り越えて、庶民の味方「高清水」が守られることを切望する。夢は、仕事を離れる時期がきたら、奥様と全国の「高清水」のある店を訪れること。竹林ゆうこ
秋田酒類製造株式会社→秋田の地酒 – 高清水 –
秋田酒類製造株式会社/秋田県秋田市川元むつみ町4番12号/ TEL. 018-864-7331(代)