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【蔵元訪問記】蔵元訪問記/天鷹酒造(栃木県)
2024.10.29更新
【蔵元訪問記】猪又酒造(新潟県)
新潟県の最西端。日本海に面する「糸魚川(いといがわ)市」。
代表銘柄は、「月不見の池」でこの地で古くから大切にしてきた藤の名所に由来しています。
猪又酒造の創業は明治23年(1890年)で130周年を迎え舗酒蔵です。
新潟県糸魚川市で日本酒を醸す「猪又酒造」
新潟県の最西端。日本海に面し、西は富山県、南は長野県に接している都市「糸魚川(いといがわ)市」。日本列島を東日本と西日本に分けるほぼ中央に位置しており、一つの市でありながら東側が50ヘルツ、西側が60ヘルツと異なる周波数が一つのエリアに混在する珍しい街です。
地質学的にも珍しく、市内は海抜0mから新潟県最高峰の2,766mの小蓮華山の高低差があります。
また、ヒスイの産地であり、この土地で造られた縄文時代のアクセサリーは北海道でも出土しており、さらに『古事記』にもこの土地の伝説が載るなど、文化的にも地質学的にも歴史も長い、ミステリアスな地域です。
2009年(平成21年)には、北海道の洞爺湖有珠山、長崎県の島原半島と共に日本で初めて世界ジオパークとしては認定されました。
糸魚川市は何本も谷があり、それぞれに生活圏があり、水質や気候が違います。「早川谷」は水が豊かで機構の大きな変動もなく、お米作りが盛んな地域。そして、この土地で日本酒を醸造するのが猪又酒造です。
代表銘柄「月不見の池」と「奴奈姫」
猪又酒造の創業は明治23年(1890年)で130周年を迎えた老舗酒蔵です。代表銘柄はこの地で古くから大切にしてきた藤の名所「月不見の池」に由来。美しい藤がその蔓や枝が水面にまで届き、夜空を覆い、美しい月を美しい藤が隠してしまうことから、地元の人から「月不見の池」と呼ばれるようになりました。
猪又酒造の特長は、全量「早川谷産の酒米」を使用していることです。これは、酒造りを通じて地域の循環を醸成することが、真の地酒づくりであると考えたからであり、実現までに20年かかったそうです。
品種は「越淡麗」、「五百万石」、「たかね錦」、の3種類。
特に「たかね錦」は杜氏自身が栽培した酒米を100%使用しているそうです。
水は、地元の名勝「月不見の池」と同じ伏流水を使用しており、硬度は7.98gの「中硬水」。ミネラル分が多いため、発酵が旺盛で元気な醪になりますが、長期でじっくりと仕込み、丈夫でしっかりとした酒造りをしています。
一口目より、二口目。二杯、三杯とうまさが増す酒造り
猪又酒造の酒造りのポリシーは「本質を外さない、基本・基礎を外さない酒造り」です。
本質とは、「造りたい酒の軸があり、蔵の個性がどの酒からも感じられる酒」のことです。基本・基礎・根幹を大切にし、心得ているからこそ、毎年の仕上がりの安定性や再現性が生まれます。そして、本質を心得ているからこそ新しいチャレンジができると考えています。
目指す酒質は、凛として簡単に崩れない、丈夫で、熟成させるほどさらにおいしくなるお酒。一口目より二口目。二杯、三杯と飲み進めるうちに次第にうまさが増し、長く楽しめるお酒をコンセプトとしています。
実際に、「月不見の池」の普通酒は、凛としていて透明感のありつつも、しっかりと芯に旨味が感じられ、地元糸魚川だけではなく県外からも人気があります。
猫が代表銘柄!広めるために全国行脚。新銘柄「サビ猫ロック」
猪又酒造の代表銘柄「月不見の池」に加え、人気の銘柄が新たにはじめた「サビ猫ロック」シリーズ。日本酒の市場が目まぐるしく動く中で、「自分もなにかできないか」と考えた猪又知良(ちから)専務は、これまでの伝統的な方法ではなく、見た目も振り切ったインパクトのある銘柄を打ち出そうと決意しました。
蔵元一家で話し合った結果、自分達の好きな「酒・音楽・猫」のこの3つを一つの形にしてみようという事になり、誕生したのが「サビ猫ロック」シリーズです。こちらは、飼い猫の「あんこ」がロックバンドを組み、音楽を通じて月不見の池を広めるために全国行脚をする、という設定になっており、2016年2月22日(猫の日)にデビューしました。
蔵元自らの情報発信に注目
猪又酒造の地元に根差し、基本に忠実ながらも、お酒に向き合いチャレンジも続けていく「本質的な酒造り」。
情報が多く、移り変わりの激しい現代社会だかこそ、尚更こういった真摯な酒造りが重要なのだと感じました。
蔵元ではTwitterやNote等のSNSでの情報発信も頻繁に行っているため、是非一度チェックをしてみてください。
【猪又酒造株式会社】
〒941-0022 新潟県糸魚川市新町71番地1
TEL: 025-555-2402
FAX: 025-555-4006