【香りに誘われて】和菓子「薫風」(千駄木)

2022.03.25

和菓子と日本酒のマリアージュ

 和菓子「薫風」は「谷根千」エリアで親しまれている千駄木にあり、「千駄木」駅から数分のところ、住宅街の一角に位置する。杉玉が迎える扉を開けると、ズラリと並ぶ日本酒の瓶たちの向いに、テイクアウト用のどら焼きや焼き菓子が鎮座している。

「薫風お試しセット」で和菓子と日本酒を堪能

代表のつくださちこさんが「薫風」をオープンしたきっかけは、製薬会社からフレンチ、イタリアン等の店を経て勤務した割烹料理店の上質な日本酒と、デザートの和菓子との出合い。ここで和菓子と日本酒はイケる!と実感した。

「薫風お試しセット」(1650円)をオーダー。3種の見目麗しき和菓子に、紀土(雄町特別純米)、にいだしぜんしゅ(生酛純米原酒)、達磨正宗(本醸造3年熟成)が並んだ。手亡豆の白餡にオレンジピールやドライフルーツが入り、カルダモンのスパイスを感じながら、「白羊羹」のいろいろな味を楽しんでいると、フルーティな「紀土」が手をひいて遊んでくれた。「ごぼう夢」に手を伸ばせば、ごぼうってこんなに美味しかったのかとハッとさせられ、「にいだしぜんしゅ」で落ち着く。餡を加えた生地に白胡麻油、無花果と胡桃を用いて焼き上げ、ラム酒をしみこませた「焼浮島」には、達磨正宗が気品を添えた。

和菓子の深さを脳と舌で知る

「和菓子にスパイスを入れるのは、唐の時代からの手法で、奇をてらっているわけではなく、そこに今あるものを取り入れているだけ。砂糖がなかった時代はドライフルーツが甘くしていました。茶事では、干し柿より甘い味を出してはいけないという決まりがあるんですよ」と、つくださん。和菓子の深さに今更ながら感服だ。

料理人の目で選び取った日本酒のラインナップ

日本酒のラインナップには、種類、造りの違いが網羅されている。さっぱりした夏酒にはグラニュー糖のような単糖で作る和菓子を、熟成酒には黒糖などを使った和菓子と、砂糖を変えることで甘味も変わっていく和菓子に、つくださんは料理人の目で日本酒を選び取る。何より日本酒は温度を変えて楽しむことが魅力だと、できたての蒸し菓子や温かいぜんざいには燗酒を合わせる。農家直送の食材を使い、旬の味わい、風味が和菓子に包まれている。

「フルーティな日本酒しか飲んだことのない方が、ここでステップアップして、夏でも燗酒がいいとまで成長したりするのは嬉しいです。紐解いていくと和菓子と日本酒って日本人が農耕民族になった時代からあったものだからそれを伝えていきたい」と、つくださんの想いが詰まった「薫風」は10年目を迎え、今後は、地方の食材を活かした商品開発や、海外での活動にも力を入れていくとのことだ。

<店舗情報>
住所:東京都文京区千駄木2-24-5  1F
営業時間:(月・火定休/土・日不定休)
水・木・金 13:30-20:00/土・日 13:30-19:00

電話: 03-3824-3131

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