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「香りにさそわれて」喜多方にて
2025.05.01更新
「香りにさそわれて」秋田にて
喜多方ラーメン
名酒の香りに誘われて
秋田駅には、「秋田犬」と「ナマハゲ」のとてつもなく大きな置物が、シンボリックに鎮座している。「ナマハゲ」は国の重要無形民俗文化財に指定され、さらにユネスコ無形文化遺産にも登録されている。「ナマハゲ」発祥の男鹿に行くには、男鹿半島の南側を日本海に沿って走る「男鹿なまはげライン」を利用。



男鹿は「ナマハゲ」にまつわる施設がある他、海岸周辺に各所見どころがあり、温泉もある観光地なのだ。秋田駅から終点「男鹿」まで55分。そのちょうど途中の「二田」(ふただ)駅は秋田駅から31分で到着。

で、なんで途中下車するのかと言えば、加藤商店という酒屋さんがある。そこでは、27歳の若き社長が奮闘している。そして、月刊ビミーが置いてあるのだ。
弊紙とのお付き合いは30年も前からで、加藤商店の先代は東京での日本酒イベントなどにもよく顔を出し、お気に入りの酒蔵との絆を深めていた。その先代が2年前に他界し、店を継いだのが長男である加藤大氏。秋田の地酒、諸国の地酒御用達㈱加藤商店の代表取締役として現在活躍する。



「2年前の4月に東京から戻り、6月に父が亡くなって何もわからないまま社長になりました。肩書が社長の立場ではありますが、長年勤めている従業員から、いろいろ勉強させてもらっています。最初は配達から、なんでも覚えていこうと覚悟しました。配達は今二人で約100店舗は回っています。店売りは売り上げの4分の1ぐらいですね」
中央大学の理工学部を卒業してすぐのタイミングで、店に戻ってきた加藤社長。インタビューの合間にも、20数年勤務するベテラン従業員さんが新社長の様子を優しく見守っていた。そんな彼女たちに、加藤社長はほんとにありがたいと感謝の念を示す。



この店の強みは、秋田酒の他県外の酒も置いていることだと、「十六代九郎右衛門」(湯川酒造店・長野県)や「望」(外池酒造・栃木県)、「三連星」(美冨久酒造・滋賀県)のいくつかの銘柄を紹介してくれた。
都内でもよく知られる人気銘柄だ。蔵元とのつながりがあり、加藤社長の好きな酒だという。秋田のお酒で人気があるのは「高清水」、「鳥海山」、「福小町」、店舗近くにある「大平山」等。先代が作ったPBは爛漫の酒で、酒銘は「酒男爵」。辛口で飲み応えがあり、店主お薦めの酒でもある。
もしご自分でPBを作るとしたら、「香りがあって、辛口で濃厚すぎず、軽くいくようなもの」。と答えてくださった。年少の頃からそろばんが得意で、大会で獲得した優勝トロフィーは母屋にズラリと並ぶ。好きなスポーツはバスケット。小学校から大学まで続けた筋金入りだ。
仕事で大切にしていることは「挨拶」で、人とのかかわりを大切に良いコミュニケーションを築いて仕事につなげたい、という。配達先は主に男鹿の温泉郷が多く、全国から観光に訪れた人が加藤商店の日本酒でのどを潤す。



配達先のひとつである「寿司 陣」(秋田県男鹿市船川港船川船川65-1)。盛りだくさんのお通しだけで日本酒が進む。あとは自家製塩辛とお漬物を加えて、「高清水」のお燗酒はどんどんお腹のなかに落ちていく。当然握りもつまみ、これ以上の幸腹はなし。
加藤商店/秋田県潟上市天王字二田22-13/電話:018-878-2010