【香りに誘われて】 「鮭と日本酒三昧+お茶」

2025.01.25

村上の街中には酒蔵が2件

 新潟駅から酒田行きの特急いなほ11号に乗って48分、「村上駅」に降り立てば、「歓迎 瀬波温泉 村上駅」の文字に目を奪われる。駅を降りて左側に歩けば日本海沿いの瀬浪温泉だ。


村上の街中には酒蔵が2件ある。宮尾酒造「〆張鶴 (しめはりつる)」と大洋酒造「大洋盛(たいようざかり)」。恵まれた風土を生かした酒造りを、村上で培ってきた二蔵だ。どぶろく特区の高根では、どぶろく「雲上 (くものうえ)」が造られている。

「みおもて定食」で「〆張鶴 花」


村上は三面川に遡上してくる鮭でも知られ、鮭文化が特徴的な街だ。例年11月下旬頃から鮭の遡上(そじょう)が始まる。「鮭が帰ってきた」の声を聞けば、村上の各家では「塩引き鮭」作りが始まるという。鮭の骨やひれまで捨てることなく食べつくし、鮭料理は100種類を超えるほどあるそう。


駅前の「石田屋」(写真左)に立ち寄り、お昼に「みおもて定食」を選ぶ。塩引き鮭、鮭の昆布巻、鮭の酒浸し、ミニはらこ丼と鮭尽くし。「〆張鶴 花」をお燗でいただく。穏やかに、まるでつぼみから花が開いていくように、ゆっくりと心身に染みていく。

町屋エリアで「千年鮭きっかわ」


昔ながらの町屋が現役の商店・住居として利用されている町屋エリアに足を延ばす。そこで威風堂々と店を構える「千年鮭 きっかわ」は元々酒造業を営んでいた。昭和35年頃から「村上の鮭食文化は日本一だ」だと、化学調味料や添加物を使用しない鮭の加工販売を始めた。居並ぶ鮭群には圧倒される。村上の観光名物でもある。

北限の茶処・村上


地酒や鮭の他にも村上には400年もの歴史を持つ村上茶があり、北限の茶処・村上とも呼ばれる。茶畑といえばどちらかというと温暖なところをイメージするが、雪国・新潟の長く厳しい冬を越えた茶の木の新芽は、まろやかなうま味が特徴となる。


茶道でもなく煎茶道でもなく、独自のお点前で一煎から四煎まで様々な形にして味わい、愉しむ「御茶セレモニー」の茶館が「嘉門亭」。「千の年鮭 きっかわ」の向かい側にあり、四季に変化のある庭を鑑賞しながらゆったりとした時間を得ることができる。


鮭も地酒も、しっかり地元に根差していることがわかる日常の風景。なんてことない料理屋さんで出てきた焼き鮭のふっくらとして豊かな滋味はきっと村上の各家庭で味わえるのだろう。合わせた「〆張鶴」の燗酒は、ひとり酒を愉しくさせてくれた。

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