【今日のお通し】全国新酒鑑評会

2022.04.19

日本の全国各地の酒蔵から出品されて行われる「全国新酒鑑評会」。明治44年に日本醸造協会が主催して始まった鑑評会で、「新酒を全国的に調査研究することにより、製造技術と酒質の現状及び動向を明らかにし、もって清酒の品質向上に資すること」を目的としている。

明治・大正時代には、鑑評会で評価された酵母を醸造協会（現在の日本醸造協会）が採取し、純粋培養して全国の酒蔵に頒布した。全国でその酵母が使われることで、その酵母が影響してできる酒質がその時の酒のトレンドとなったのは、今にも通じている。酒米も同様。優秀な成績を収めた酒と同じ酒米を使えば酒質の良い酒ができることが流布されて、「山田錦」のポジションが確立されていったのだ。

今でこそ、地元の米を使っていい酒を造ろうという動きがあるが、全国の酒蔵がこぞって兵庫県の「山田錦」を確保することに力をいれていたのはこの全国新酒鑑評会の影響が大きいだろう。

現在は酒類総合研究所と日本酒造組合中央会の共催で行われている。令和３酒造年度全国新酒鑑評会には全国から８２６点の出品があり、決審は令和４年５月１２日から５月１３日までに行われ、5月２５日の１０時頃独立行政法人酒類総合研究所のホームページで発表される予定だ。まるで大学入試の発表のようで、多くの酒蔵ではこの発表を心待ちにしている。

優良酒は金賞と入賞酒に評価される。出品酒の3分の1ほどが金賞となるのだけれど、酒蔵にとってここでとる金賞には特別の意味があり、その蔵で磨いてきた技術が認められることであり、今までの努力が報われる舞台でもある。

実際のところ、「美味しさ」という観点で見たら、決して「金賞」の酒だけが美味しいわけではないし、「金賞」を取ったからといって残念ながらその酒が爆発的に売れるわけでもない。

個性が大事にされるようになった今はさらに「金賞」の影は薄くなってもいるが、なぜ「金賞」を取ったお酒がそんなに売れないのか、と言えば広報が足りないのだと思う。１年に１回のこの全国的な鑑評会を知る人は少ない。日本酒に感心がない人は「何それ？」と聞いたこともないという。

せっかくの歴史の長い日本の酒蔵の切磋琢磨の評価を、日本の多くの人に見守っていただきたいと思う。ドキドキしながら、自分の好きな酒が「金賞」を獲ったかどうか一緒に確認しましょうよ。

発表は５月２５日です！

つれづれ酒マガジン編集では、読者の方が、編集部に是非紹介してほしいネタを募集しております。