辛口よろし！！

2022.08.31

名酒センターの店頭に立っていると「辛口が好きなんですけど、辛口のお酒って選んでいただけますか」とよく聞かれることがある。最近はそれが「甘口が好きなんですけど～」に変わりつつある。

甘口も辛口も人それぞれのセンサーによるところがあり、一概には言えない。「日本酒のことが全然わからなかった若いとき、某有名な日本酒バーの利酒師の方に辛口のお酒くださいと伝えると「辛口ってなんすか」といわれたことがあった。そこから少し日本酒を注文するのが怖くなったから詳しい人は初心者にもっと優しくなってほしいなと思う」

こんな記事を最近見て、かつて某雑誌で、「辛口ください」というお客さんに辟易するといった記事を掲載していたのを思い出した。

しかし、「辛口」も「甘口」も使いやすく、実は表現しやすい。基準が辛口か甘口しかないのは寂しいけれど、まずはそこにセンサーが反応して、そこから複雑な味の世界へ踏み込んでいくわけで、門出で「なんすっか？？」というのは違う気がする。

先日、ファーブルの昆虫館というところに行ったら、世界で一番美しい蝶々はどれですか？といった小学生の質問があった。それに対する答えは、美しいと思う気持ちは人それぞれです。だから世界一を決めることはできません。といった答えが書かれていた。

なるほど。お酒もしかり、美味しさの基準も辛さ、甘さの基準も人それぞれ。それまで培ってきた個々の味覚センサーによるもので、私の辛口があなたの辛口ではないのです。

でもそんなことも承知で、どうしたってこんなに沢山ある中から選ぶには水先案内人が必要になる。

そこは、例えば私の想う辛口は、辛口でもキリッとした辛口とコクのある辛口やいろいろありますが、どちらですかとか、質問におつきあいするのがプロではないかな？

「辛口ってなんすか？？」は？？？。日本酒ははまればハマほど、知識を得ればどんどん楽しくなっていくのだけれど、どういうわけかエライ人になった気分になってしまわれる人が散見されるのはどういうわけだろうか？あなただって初めは辛口の酒、甘口の酒を捜していませんでしたか？？

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