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「夜のカッパと、初の姫路おでん」
2025.11.30更新

人気ドラマ『孤独のグルメ』原作者である久住昌之さんがふらっと立ち寄ったお店、そこで嗜んだ地酒について気ままにつづります。
「琵琶湖の小さな島で飲んだ」
二泊三日で滋賀県の取材に行った。滋賀と言ったら琵琶湖だ。二日目が天気予報で雨だったので、晴れている初日に長浜から琵琶湖フェリーに乗ることにした。

行き先は琵琶湖の北の方にある周囲2kmの小島・竹生島(ちくぶしま)。琵琶湖汽船のフェリーで島まで30分。え、そんなにかかるのか。滞在時間90分。それは長いのか短いのか。全然見当がつかない。
琵琶湖を船で行くのは初めてだが、今更ながら広い!これは本当に内海。大きな湾のようでもある。
12月だが暖かい日で、デッキ席で風を浴びている観光客も多い。そう、観光客がたくさんいたことにも驚いた。こんな冬の時期に琵琶湖の島に行く人なんて、誰もいないかと思った。
竹生島には宝厳寺と都久夫須麻神社という古い寺社があり、パワースポットとしても有名らしいことを港の待合所で初めて知った。若いカップルや夫婦もの、老人グループと客層は広かった。
30分のクルーズは雪を被った伊吹山なども見えて、なかなか楽しくあっという間だった。島の港に着くと、皆寺などのある方に向かって歩いていった。ボクは最後に降りて、写真などを撮っていたが、港近くに茶屋を一軒発見した。たぶん島に一軒だけの飲食店だろう。「滋賀おでん」と書いてある。覗いたらガラガラだったのをチャンスだと思い、迷わず入った。
嬉しいことに地酒もある。「竹生島」(辛口)一合を燗してもらい、おでんを頼んだ。好天とはいえ冬だから燗酒がうまい。おでんは食べたことのない「赤こんにゃく」と「丁子麩」そして玉子のセットだった。赤こんにゃくが固くておいしい。逆に丁子麩は溶けそうに柔らかくて味が染みていた。酒がうまい。

一目散にパワースポットに向かった人々を受け流して、最初に茶屋に入った作戦成功だ。90分もあるのだ。時間はあるはず。

外気が入ってきて寒いがストーブもついている。湯呑み茶碗に入ってくる燗酒がこの上なくありがたい。静かだ。どんなに小さく、どんなに陸から近くても、島と名のつく土地には本土と隔離されてゆったりした「島時間」がある。この島のこの茶屋にもそれが流れていた。
一杯の酒をゆっくり飲み、さてと腰を上げて寺に向かった。そしたらいきなり急な階段が140段ほどあり、ちょっとしか飲んでないのに、これがなかなかしんどくて、休み休み登る。
「パワースポット」という言葉は、全国で聴きすぎて正直興味も関心もなかったが、寺も神社も古くて小さいながら見応えあり、ほほうと感心した。高いところからの琵琶湖も美しい。ひと回りして港に戻って、時間はまだ少しあった。観光スポットとしてよくできている。一度入ってみるだけあるので覚えておいたらいいと思う。
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