人気ドラマ『孤独のグルメ』原作者である久住昌之さんがふらっと立ち寄ったお店、そこで嗜んだ地酒について気ままにつづります。

「ちょっとだけ遠い蕎麦屋で、祭りの一杯」

2023.10.31

 旅と言ったって、遠くへ行くばかりが旅ではない。

 自宅から最寄り駅で、いつもと反対方向の列車に乗って、いくつか乗って知らない駅で降りるのだって、十分に旅だ。

 しばらく行ってない、西武線の久米川に、うまい肴と蕎麦を出す店があった。東村山である。この連載のために、行ってみようかと思い立つ。

 だが行ってお休みだったら大変。電話した。すると営業しているけど、阿波踊りがあるので午後早くに店を閉めるという。

 慌てて出かける。もう頭がその店の酒と肴になっている。

 電車を乗り継いで久米川に着く。駅前は阿波踊りの準備をしている真っ最中だった。だんだん人が集まっているが、今年4年ぶりに開かれた高円寺の阿波踊りのような数万人の規模ではない。もっともっとローカルな感じ。でもそれもまたいい。ここも4年ぶりだそうだ。

 蕎麦屋に着くと、スッと座れた。よし。

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