誌面ビミーで長年連載している中沢けい氏の「酔々日記」です。文士の筆遣いに、日本酒が気持ちよくあふれでてきます。

【中沢けいの酔々日記】灘の生一本

久しぶりに「灘の生一本」という言葉を聞いた。そうそう、以前は灘のメーカーがテレビCMを流していた。

近頃はとんとテレビを見ないので、そもそも、うちのテレビは壊れているのだもの、日本酒のCMがあるかどうかは知らない。ないような気がするのだけど、どうなのだろう。

　一九九五年の阪神大震災の時は灘はもちろん、伏見の酒蔵も大打撃を受けていると報じられていた。あの震災の打撃はかなりなものだった。それから三〇年。

大酒を飲む人はめっきりと減った。二〇一一年の東日本大震災のあとは、繁華街から人が引けるのが早くなったそうだ。