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【中沢けいの酔々日記】 酒、塩、昆布
2024.09.30更新
誌面ビミーで長年連載している中沢けい氏の「酔々日記」です。文士の筆遣いに、日本酒が気持ちよくあふれでてきます。
【中沢けいの酔々日記】 甘酒で暖まる
2024.01.29
元旦の能登半島地震、輪島塗、九谷焼などの工房も多大な被害を受けたと聞く。能登の塩田、和蝋燭の工場、七輪の製作所、なども甚大な被害を受けている。お酒の蔵元も例外ではない。能登に点在する地酒の蔵本はどこも今年の仕込みを断念したと報じる記事を読んだ。
能登の杜氏は地元の蔵本で働いているばかりではない。夏は海へ出て漁を営み、冬は灘の杜氏として働いている人も多いそうだ。阪神大震災から二九年、灘でも二九年前の震災犠牲者を追悼する行事が行われたという記事と並び、能登との縁で、このたびの地震の救援に乗り出した蔵元さんの話が載っていた。
子どもの頃、酒粕と言えば、灘で作られるお酒のメーカーのものだった。平べったく四角い酒粕が冬の冷蔵庫の棚に必ず乗っていた。酒粕を入れた粕汁は身体が温まると食卓に出た。私の父は下戸だったが、粕汁ていどなら、酔わずに酒の気配を楽しむことができた。
粕汁は子どもでも食べられた。が、粕汁よりは酒粕で作ってもらう甘酒のほうがうれしかった。下戸の父は甘酒も喜んだ。生姜を絞っていれるとおいしいと教えてくれたのは母だった。
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