人気ドラマ『孤独のグルメ』原作者である久住昌之さんがふらっと立ち寄ったお店、そこで嗜んだ地酒について気ままにつづります。

「神戸元町の老舗にて、金盃で乾杯」

　仕事で神戸に行った。午後5時に終わったので、飲みに行くにはグッドタイミング。初めて行く店は緊張するが、開店時は空いているし、常連さんも少なく、リラックスできる。　　

　15年ぐらい前に、知り合いに教えてもらった店がよかったので、三ノ宮駅周辺を探すも、見つからず。店名も忘れたし。

あてどなく歩いていて見つけたのが「森井本店」。店構えが最高。洗い晒しの暖簾に「良心的な大衆居酒屋」と書いてあるのが、安心させるじゃないか。入るしかない。

　ここは古そうだ。いいぞ。カウンターの奥隅に陣取る。外気が入ってきて心地よい。

　ビールと、見たことない「ちくわのサラダ揚げ」というのを頼む。竹輪をサラダ油で揚げるのかと思ったら、竹輪を縦に割いて、ポテトサラダを詰め、天ぷらにしたものだった。これが、ウマイ！女将さんは「元は熊本のものですけど、うちはそれを少しアレンジしたものです」と教えてくれた。ビールのアテに最高だが、子供も絶対好きな味。