人気ドラマ『孤独のグルメ』原作者である久住昌之さんがふらっと立ち寄ったお店、そこで嗜んだ地酒について気ままにつづります。

「ロケ先で日本酒をご馳走になった」

2026.03.26

「孤独のグルメseason 11」が4月3日から始まった。番組のラストにある「ふらっとQusumi」のコーナーも3年半ぶりに復活。
 2~3分の枠なので、松重豊さんが演ずる本編とは別の日に、少人数で収録する。なんの緊張感もない気楽な撮影。

今回その第一回は藤沢市の駅から徒歩40分の住宅街にある食堂だった。
 もちろんその店に行くのもそんな土地に行くのもボクは初めて。スタッフはよくそんな食堂見つけてきたなと思ったが、実に「孤独のグルメ」っぽい店だった。

店に入るとまだ開店2年目だそうで母とまだ若い娘二人で切り盛りしている。メニューが魚中心というのはやはり海に近い藤沢という土地なればこそである。「鯖の味醂干し焼き定食」なんてなかなか都内の食堂にはないシブいメニュー。

お客さんはほとんど地元の常連さんばかり。立地的にそれはそうだ。昼から通しでやっているが、夜ともなれば飯の前に一杯、という客も少なくないというが、「イカの一夜干し」や「塩辛」なんてのがあれば、飲兵衛なら酒を頼むのを我慢できないだろう。

ボクの収録は10分もあれば終わる。だがスタッフはボクが食べた料理の物撮りや、それを作っている様子、店の外景など、いろいろ撮影しなければならない。
 ボクは自分の出番が終わったら帰ってもいいのだが、この店は何しろ駅から徒歩40分だ。スタッフの物撮りが終わるのを待って、ロケバスで一緒に帰る、ということになる。

そうなると、「じゃあ、みんなを待ってる間に、定食のおかずで一杯」ということになる。そう来たら店のお母さんも飲ませたいわけです(お母さんも酒好き)。


 それで「つぶ貝串」なんて焼いてもらっちゃって。そしたらもう日本酒だ。まだ真昼間なのに。棚を見たら「八海山」とか「緑川」とかボクの好きな新潟の酒ばかり。お母さん、冷蔵庫からとっておきの「緑川ゆららか」を出してくれまして。これがまたうまい。必死で働いているスタッフを横目に飲むのが、申し訳ないが、タマラナイ。この背徳感が。


「アサリのバター焼き」も最高。さらにお客さんに言われてできたメニューという「オクラ納豆生イカ入り」がおいしいのなんの。これはごはんのおかずにもいいけど、もっちろん日本酒のアテにも超よろしい。


 そしてこの店の豚汁が変わっていて、豚肉がなんと挽肉。これは初めて食べた。どうかなと思ったが、うまい。ちょいと味噌味が濃くて、おかずにもなるが肴にもなる。熱い汁もんで飲む冷酒ってのがまたこたえられん。嫌になっちゃうね。って、ちっとも嫌じゃないんだけど。

最後はこの豚汁にやわらかいうどんを入れたので、これで締めました。その頃スタッフの撮影も終わり、ロケバスに便乗して帰りましたが、藤沢から都内まで長い道のり、と思ったらあっという間に寝オチしました。

★下記から新規会員登録をし、有料会員登録をしていただくとすべてのバックナンバーをご購読いただけます。

新規会員登録 | ビミーデジタル

久住昌之オフィシャルウェブサイトはこちら

久住昌之 オフィシャルウェブサイト

過去記事一覧

「博多で飲み直し酒が、楽しいことよ」

2026.02.27更新

「羽村の寒い夜、蕎麦屋呑み」

2026.01.31更新

「琵琶湖の小さな島で飲んだ」

2025.12.31更新

「夜のカッパと、初の姫路おでん」

2025.11.30更新

「新潟ひとり二次会」

2025.10.31更新

「佐渡島に7年ぶりの演奏旅行」

2025.09.30更新

「悪石島の民宿の宴会」

2025.08.31更新

「長野で「やたら漬け」のご利益」

2025.07.31更新

「三重県の知らない町へ」

2025.06.30更新

「青森の居酒屋で旨い蕎麦に出会った」

2025.05.29更新

鹿児島で半魚人の腹皮焼き

2025.04.30更新

新潟は米がうまいからなんでも来いだ!

2025.03.31更新

「五島列島で「三・五・七・鬼」に驚いた」

2025.02.28更新

「鈴鹿でいい店にあたった夜」

2025.01.29更新

「東北新幹線でおにぎりと缶酒」

2024.12.30更新

「西成でたこフェに遭遇、〆にカレーうどん」

2024.11.30更新

「若狭で「なっぱ煮」に感激した夜」

2024.10.31更新

「大船渡で心温まる居酒屋に入れた」

2024.09.30更新

「京都大衆酒場で、ちろりから注ぐ冷や酒」

2024.08.31更新

四ツ谷で、長野に旅気分

2024.07.31更新

蒲田の蕎麦屋で驚く

2024.06.30更新

「東京駅構内で立ち飲み一杯」

2024.05.31更新

「武雄温泉でちょいと贅沢酒」

2024.04.30更新

「飛騨古川で、熱燗と中華」

2024.03.31更新

「修善寺のアジ寿司弁当とカップ酒」

2024.02.29更新

「さくら納豆」に、大いに戸惑う

2024.01.31更新

寿司屋のカニクリームコロッケ

2023.12.29更新

「石川県で、手取川を呑みながら」

2023.11.30更新

「ちょっとだけ遠い蕎麦屋で、祭りの一杯」

2023.10.31更新

「長野でおいしい野菜と旨い酒」

2023.09.30更新

「函館の冷凍イカと五稜」

2023.08.31更新

「野沢菜の天ぷらに救われた」

2023.07.31更新

「奈良でおからで地酒」

2023.06.30更新

「門司港の激シブ角打ちで、数年ぶりに飲んだ」

2023.05.31更新

「修善寺で蕎麦屋酒」

2023.04.30更新

「名古屋・堀田で見つけた名店」

2023.03.30更新

「浅草で旅の最後に立ち寄る店」

2023.03.03更新

「和歌山・田辺の炉端焼き、感動」

2023.01.30更新

「福井・若狭で、二泊三日の旅酒」

2022.12.31更新

道東の紅葉と天の川で、宿酒

2022.11.30更新

「新幹線の鶴亀と、究極の肴」

2022.11.01更新

「呼子のイカのサルサフリットで燗酒」

2022.09.30更新

「長崎駅で立ち飲みした日本酒」

2022.08.30更新

「有馬温泉で湯上り散歩夕飯酒」

2022.07.31更新

「神戸元町の老舗にて、金盃で乾杯」

2022.06.30更新

「津軽で、純米吟醸の燗酒に驚く」

2022.06.02更新

「阿部野の老舗で雨の昼酒に酔う」

2022.05.01更新

「浜松、鰻肝焼きとタコブツで一杯」

2022.03.31更新

久住昌之のふらっと旅酒 #001 新潟編

2022.02.14更新