【トピック】「七冠馬 純米大吟醸 ウマ娘 シンボリルドルフ 限定醸造」醸造元 簸上清酒 16代次期蔵元 インタビュー

2022.04.03

限定醸造酒「七冠馬 純米大吟醸 ウマ娘 シンボリルドルフ 限定醸造」が7,777本限定で3月13日、シンボリルドルフの生誕日を祝して発売。即日完売と、予想をはるかに上回る反響だった。

醸造元の簸上清酒 専務 16代次期蔵元 田村 浩一郎氏(35歳)に今回のコラボに対する想い、神話とたたらの里島根県奥出雲町で酒造りを営む簸上清酒について、お話を伺った。

予想を上回る反響について

簸上清酒 専務 16代次期蔵元 田村 浩一郎氏)想像を上回る反響をいただき、本当に感謝の気持ちでいっぱいです。7,777本という数字は日本酒の限定品としてはとても大きな数字だと思います。なので、売れてくれるだろうとは思いつつ、どこか半信半疑な気持ちでルドルフの誕生日を迎えましたが、完全に杞憂でした。
完売で買えなかったというお声や、再販してほしいというお声をたくさんいただいています。そういったお客様に商品をご用意できないことは、とても心苦しく、申し訳なく感じています。

今回のコラボレーションで、七冠馬と簸上清酒がたくさんの方の目に触れることになりました。今まで以上に気を引き締めて、緊張感をもって良いお酒を造り、お客様にお届けしていきたいと思います。まずは今回の商品の一本一本に想いを込めて、丁寧に壜詰め、出荷作業を進めていきます。

ウマ娘とのコラボ商品で日本酒に触れたお客様が、次の一本を手に取りたくなるような機会になるよう、精一杯取り組んでいきます。

簸上清酒 代表 15代蔵元 田村 明男氏)「七冠馬」を26年間やってきて、またルドルフの没後11年目の今年、今回のウマ娘とのコラボ商品がたくさんのお客様にルドルフを知ってもらう機会になったことが何よりも嬉しいです。反響の大きさから、私たちが「七冠馬」というお酒を通じて関わっている「シンボリルドルフ」という存在が、とてつもなく偉大なものなんだということをあらためて実感しています。



神様と酒

日本酒の発祥は島根県と言われています。

発祥の地域については諸説ありますが、島根県が発祥と言われるのは古事記や日本書紀の記述に基づくものです。旧暦の10月、神在月(かみありづき)に全国から神様が出雲大社に集まってくることは有名ですが、同じ出雲市内に佐香神社という神社があります。奈良時代に編纂された出雲国風土記に、この地に神様が集まって酒造りを行ない、酒宴を開いたとう記述が残っており、日本酒発祥の地と言われています。同じく出雲市内の万九千神社(まんくせんじんじゃ)は神在月に出雲地方に集まった八百万の神様が最後に立ち寄る神社と言い伝えられ、いわゆる打ち上げをした神社ということです。

この打ち上げの酒宴を「直会(なおらい)」と言います。直会の後に神様は諸国へ旅立つ、神等去出(からさで)されるとされています。

馬と神様の深いつながり

ルドルフの馬主であるシンボリ牧場の和田家は島根県の大田市の出身で、大田市にある物部神社にはルドルフの父馬であるパーソロン号の像があります。ルドルフの馬主であった和田共弘氏がこの神社の氏子であった縁から奉納されたものです。物部神社の御祭神は宇摩志麻遅命(うましまじのみこと)で、古来より文武両道の神・鎮魂の神・勝運の神として崇敬されています。

神社と馬とは深いつながりがあって、神様が騎乗するための神馬(しんめ)という馬がいます。今でも神馬を飼っている神社がありますが、馬は飼育が難しくお金もかかることから、次第に馬の像や絵馬に置き換わっていったとされています。

七冠馬との縁

ルドルフの馬主である和田家の孝弘さんと、弊社の社長の妹さん、私から見て叔母の啓子さんが結婚されたことが縁で、「七冠馬」という商品名で日本酒を発売して26年になります。

私も牧場には何度か行ったことがありますが、私が20代の頃に逢ったルドルフは、とても立派だったことを覚えています。その年のジャパンカップが第30回目だったことを記念してルドルフは東京競馬場でパドック展示されたんですが、そのまま走れそうなぐらい若々しい馬体だったと言われています。サラブレッドは生まれたときに自力で立ち上がるまで早くても30分、一般的には1時間前後かかると言われていますが、ルドルフは20分で立ち上がったという逸話も残っています。

七冠馬の発売以降、ルドルフに挨拶をしに毎年秋に北海道のシンボリ牧場を訪れていた社長。


「七冠馬」の発売以降、父である現社長は、ルドルフに挨拶をしに毎年秋に北海道のシンボリ牧場を訪れていました。
最初の頃は「皇帝」との対面に腰が引けていた社長に、
ルドルフはシャツの袖を噛んだりちょっかいをかけていましたが、ルドルフの好物のりんごと角砂糖をあげると懐いてくれたというエピソードもききました。


私はルドルフの現役時代を直接知りませんが、ルドルフが日本競馬史上最強だと思っています。異論は認めます(笑)むしろ異論があって然るべきだと思います。

競走馬がレースで走れる期間というのは長くても4,5年、当然、歴代最強と言われるような馬たちが一堂に会してレースをすることもありません。だからどの馬が最強かという議論には永遠に答えがなく、ないからこそおもしろい、いつまでも終わりがないんだと思います。その議論の中で常にルドルフが有力な候補として挙がることがとても嬉しいですし、ルドルフの偉業を伝えていくということに「七冠馬」というお酒で関わることができるのは本当に有難いことだと思っています。

競馬への想い

シンボリ牧場に同い年の従兄弟(現シンボリ牧場代表)がいましたし、「七冠馬」という商品もあったので、家として競馬と関わりがあることは小さいころから理解していましたが、私自身が競馬を意識し始めたのは中学3年生の頃です。


2001年の年末の有馬記念で、ルドルフ以来史上2頭目のGⅠ7勝を達成したテイエムオペラオーがGⅠ8勝目を達成するんじゃないかと話題になっていて、子供ながらにそうなったら「七冠馬」はどうなるんだろうと思っていました(テイエムオペラオーはそのレースで1着のマンハッタンカフェの5着に敗れ、GⅠ7勝のまま引退)。

オペラオーがGⅠ8勝目に挑戦した2001年に、シンボリ牧場からシンボリクリスエスという漆黒の本当に美しい馬体の馬がデビューしました。3歳春には日本ダービーの前哨戦の青葉賞(GⅡ)を勝ち、同世代の有力馬に名乗り出ました。残念ながら日本ダービーはタニノギムレットの2着に敗れてしまいましたが、秋にバブルガムフェロー以来史上3頭目の3歳での天皇賞(秋)制覇、有馬記念も勝ち年度代表馬に輝きました。翌年も天皇賞(秋)、有馬記念を連破し、2年連続で年度代表馬になりました。

クリスエスが活躍するようになったころから本格的に競馬を見るようになりました。親戚の牧場の馬ということもあって応援していました。
クリスエスがGⅠレースを勝った翌日は、学校帰りにコンビニに走ってスポーツ新聞を買い漁っていました。
GⅠの翌日のスポーツ新聞はレースのゴールシーンの写真が大きく掲載されるので、クリスエスが映っている新聞を読んで部屋の壁に飾るのが楽しみでした。競馬を見るというよりは、好きな野球チームを応援するスポーツ観戦のような感覚です。今でも競馬は見るばかりで、馬券を買うことはほとんどありません。

弊社にはクリスエスの馬体をイメージした真っ黒なラベルの「漆黒のS」という商品があります。

ラベルの通り派手さはないですが、どんな料理にも合い、冷酒からとびきり燗まで幅広い温度帯で飲める本当にオールマイティなお酒です。私はなにを飲もうか迷ったときは、とりあえずこれを飲んでおけば間違いないと思う、お気に入りの酒です。クリスエス贔屓がないと言えば嘘になるかもしれませんが笑。

漆黒のS

そのクリスエスも1年と少し前に亡くなってしまいました。しかしルドルフの血がトウカイテイオーやツルマルツヨシにつながっていったように、クリスエスの血も脈々と受け継がれています。最近ではクリスエスの子どものエピファネイアが種牡馬として大成功し、その子どものエフフォーリアが昨年は大活躍して年度代表馬を獲得してくれたおかげで、競馬を見るのがすごく楽しいです。今でも競馬を楽しませてもらっているのはクリスエスのおかげです。


神話の里の米作り

奥出雲地域は古来より良質な砂鉄が採れる土地で、その砂鉄を原料とした製鉄法「たたら製鉄」で知られてきました。鉄穴流し(かんなながし)といって、山を切り崩して川に流し、岩石や土に混じった砂鉄を比重差で取り出すという採集方法です。この切り崩した山の斜面は棚田として造成され、そこで酒米や食用米をつくっていったという歴史があります。

もちろん、弊社のお酒もこの棚田でできた米を使って仕込むことがあります。大原新田(おおばらしんでん)は、1999年に「日本の棚田百選」に選定され、2014年には「奥出雲たたら製鉄及び棚田の文化的景観」として、中国地方で初めて国の重要文化的景観に選定されています。

このたたら製鉄と奥出雲の農業のつながりは、「たたら製鉄に由来する奥出雲の資源循環型農業」として2019年に「日本農業遺産」に認定されました。2021年には「世界農業遺産」に申請することが決まっています。

このようにもともと米作りが盛んな地域ということもあり、弊社の従業員も家は田圃を持って米作りをしているという人が何人もいます。春や秋の季節に有給申請が出てくると、かなりの確率で田植えか稲刈りです(笑)。休みの日も作業をして奥出雲の農業を支えてくれている、本当に頭が下がります。

仕込み水は酒にまつわる神話の舞台から

奥出雲町内にある船通山という山を源流とする簸川(ひのかわ、現在は斐伊川)という川があります。船通山は古くは鳥上山と呼ばれ、ヤマタノオロチが住んでいたとされる場所です。船通山の麓にスサノオノミコトが降り立ち、ヤマタノオロチに酒を飲ませて、酔っぱらったところを退治するという神話を聞いたことがある人も多くいるのではないでしょうか。弊社の酒造りではこの簸川の伏流水を仕込み水に使用しています。

地の利を生かした酒造り、そしてできる酒は

酒は、バランスのよさが大事だと思っています。「七冠馬 純米大吟醸 ウマ娘 シンボリルドルフ 限定醸造」は、ほどよく吟醸香があって山田錦のお米の味わいがしっかり感じられます。

弊社のお酒は、とがりすぎず、軽すぎない。ずっと呑んでいるとじわじわと旨味が伝わってくる。飲み疲れしないお酒です。今まで飲んだことのない方が、日本酒の入り口として飲んでくださったら嬉しいですし、飲みなれている方にはずっと呑んでいられるようなお酒だと思います。

『ウマ娘 プリティーダービー』のファンの方の中には、開栓せずに保存しておきたいという方もいるかもしれませんが、日本酒は飲んでこそなので、ぜひ味わっていただきたいです。特に、「七冠馬」は食事と一緒に飲んだときに真価を発揮するお酒です。好きな料理と合わせて、自分だけのお気に入りのペアリングを探してみてください。

今後の展望

酒の流行は変わっていきますが、そこを追いかけるのではなく、しっかり地に足つけてやっていきたいです。今回の「七冠馬 純米大吟醸 ウマ娘 シンボリルドルフ 限定醸造」のような酒の味を柱に今後もやっていきます。
3月から七冠馬のデザインをリニューアルして、「Tokyo SAKE Collection~サケコレ2022春~」の会場で先行公開しました。
ドキドキしながら持っていったんですが、かっこいいですねという声をもらえたので、安心しました。「七角形の蹄鉄」をデザインしたもので、七角形はルドルフが達成した「七冠」、蹄鉄は競走馬の象徴でもある蹄の摩滅を防ぐための鉄の金具です。

蹄鉄は海外では幸運を意味するという国もあるそうです。とてもシンプルなデザインなので、それぞれが意味を見出してもらえる、そんなマークになってくれたらと思います。

(簸上清酒の歴史)

簸上清酒は1700年代前半、江戸時代中期の元号「正徳」の頃に創業したと語り継がれている。当時の屋号は「冨田屋」。何度か大火に見舞われ、詳細な記録は残っていないが、第十二代権次郎の時、1895年に酒造りが免許制となると交付を受け、1910年には町内の三軒の酒蔵が合併。今の「簸上清酒合名会社」の形となった。

1960年代に第十四代田村浩三が泡無酵母の原種を発見したのは、業界では大きなニュースであり、酒造りに改革をもたらした。泡無酵母が発見される前は、発酵中のタンクには高泡ができるので、溢れないように夜通し番をする「泡守り」という役割があった。泡無酵母により、作業が大幅に改善されたのだ。

主力銘柄である「七冠馬」を発売したのは1996年。1980年代に日本の競馬界で活躍したシンボリルドルフ号に由来する銘柄で、1986年にシンボリルドルフのオーナーの和田家と蔵元の田村家が親戚関係になったことから生まれた。

伝統の製鉄法「たたら製鉄」で造られる和鉄「玉鋼」は日本刀の原料として全国の刀匠に供給されてきたが、現在では、島根県東部にのみ伝承されている。この地元の伝統産業に由来する銘酒『玉鋼』が1987年に誕生。全国新酒鑑評会5年連続金賞や、インターナショナルワインチャレンジトロフィーなど数多くの賞を受賞。簸上の酒造りの品質を全国へ知らしめる商品となっている。


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